シンの蜘蛛男を見てから来ました。ストーリーいらんです。全くいらんです。ちはるもブサイクで粗暴なヒロインもいらんです。そういうのは、適当でいい。むしろ幼稚園バスをハイジャックするくらいのもんで仮面ライダーは、ええんですわ。そういうとこ庵野さんは、良くわかってる。ヲタクだからこそ、そういうわびさびを良くわかってる。かっこいい1号２号Ｖ３は、役者さん含めスタイリッシュでよかった。ライダーになってからのアクションシーンが良かっただけに、しょうもないストーリーの部分のウザさが際立って不快でした。見て損はない作品。

今から17年前の作品にしては良く出来ていると思いました。今観てもサイクロンもライダースーツもかっこ良く、建物が破壊されるシーンも多く、製作費もケチっていないのではと思えました。アクションもシン・仮面ライダーの庵野監督が嫌うワイヤーアクションがふんだんに使われていましたが、殺陣もきまっていて、質が高い方だと思いました。また、変身していてもライダーのヘルメットから後ろ髪が出ていたり、ヘルメットを脱着するのも、シン・カメよりこちらの方が先だったし、仮面ライダーと日本ホラーが合体したような脚本も面白いと思いました。ただ、冒頭のシーンが口が悪くて行儀が悪い高校生とそれでも敬語を使い続ける教師という礼儀を欠いた時間が長く、秩序のない無礼な感じはどうしても観ていてストレスになり、途中で１度、観るのを止めてしまいました。どうして、かわいい少女に無礼で汚い言葉使いと行儀の悪さをさせるこういう設定が多いのかと思います。この辺りは昭和のヒーローものの設定の方が好きです。

高校教師と生徒。アイドルと親友。この設定はいらない。アイドルの恨みの行動はショッカーとは何の関係もなかったし、陳腐な設定であった。ナノマシーンをばらまこうとするショッカーに敢然と立ち向かうスタイリッシュで現代的な仮面ライダーとバイク。時折差し込まれるイケメンライダーたちのツンデレな会話。これだけで十分だった。

1号ライダーから作り直されているＦＩＲＳＴ・ＮＥＸＴを久しぶりに見直してみた。ＦＩＲＳＴ・ＮＥＸＴのスーツは新しい1号・2号・V3のデザインとしてかなり好き。古いライダーのシンプルなイメージを残しつつ、新しさとスマートさが際立つデザインは洗練されていると自分は思う。かなりの格好良さ。（ショッカーライダーの色もセンスいい！）庵野版ライダースーツもかなり良いが、ベルトやスーツの細かいデザインに少し違和感を覚えた…昔のライダーの野暮ったさがかなり取り込まれているのがいい感じとは思うのだが…庵野さんのマニアックさやデザインが前面に出ている気がして、チョット嫌だ…う～ん…ベルトやサイクロン号がね…タイトルにシンの付く作品は、やり過ぎと、こうだったよねと強い自己中心的な共感を押し付けられるから。ＮＥＸＴはお決まりポーズで1号・2号・V3が目を光らせてキマッた所は涙もの！(このシリーズ2本は ⌈変身!⌋って決めポーズでの変身が、何故かオミットされているから尚更ね)闇夜の1号ライダーとショッカーライダーの戦闘シーンも最高に素晴らしい！（昔のライダーぽい）田口トモロヲさんのシザーズジャガー(ハサミジャガー)は鉄男ばりにキレた演技で惚れ惚れする。ただ、チェーンソーリザード(女の怪人) が館での変身のさい、マスクをかぶってしゃがんで再び登場した時の本郷猛の目線が変だし、ラスト3ライダーでの脱出シーンがスローモーションで足をバタバタさせているのがダサい…ストーリーはお世辞にも面白いとは言えない…残念…ショッカーの闇の組織感は良く出ていたが、ホラーにしてしまったのはいただけない…子供の頃に観ていた昔の仮面ライダーは確かに暗いシーンが怖かったけど、監督は何を勘違いしてしまったのだろう？(仮面ライダーは変身ヒーロー作品)エンドロール後の陳腐なホラーシーンでさらに台無し…いらないし、くどい…たぶん続編が作られなかったのはＮＥＸＴがコケたせい…(そんな事ないか)スーツデザインも俳優も良かったのに、一文字隼人のその後もほっぽり投げになった…気になる…ストーリーはほぼ無視して…少しハリを失ってはいらっしゃるが首領の納谷悟朗さんの声を聞けて嬉しいし、田口トモロヲさんの熱演、1号・2号のライダースーツがＦＩＲＳＴの時の色からリペイントされて、さらにデザインとヤレた感じが格好良さを増し、V3とショッカーライダーのスマートさ、アクションシーンと3ライダーの目が光る定番決めポーズを見るだけでも価値がある作品だと思う。(予算もかけていそう）ただストーリーも重視される方にはオススメ出来ない…

作品自体は面白かったけど、「ちはる」の扱いが中途半端なので星一つ減点。最後は兄にとどめを刺される悲劇を描くにしても、あんな悪霊じみた扱いじゃなく、「精神体を駆使する、とんでもなく強い怪人」として、もっと前面に押し出せばよかったのに。

どう頑張っても仮面ライダーの本質は、チープなB級アクション作品だ。海外を含め改造人間や怪人といったモチーフの怪作や珍作が毎年何本作られているかは知らないが、仮面ライダーという作品の骨格は、凡そ、その範疇を出る事は無い。もちろん、これはマーベル〇〇シリーズにも言えるが、もとがB級アクション作品であるならば贅沢な予算や、けばけばしいCGで無理やり飾り付けた所で、お粗末な骨組みは絶対に覆せない。ネットの普及が思い出を共有、神格化し、作品のネームバリューが物事の本質を追い越して歩き始めた結果、絵面だけ派手で、その中身は興醒めするようなものが近年は量産される傾向にある。どう頑張っても仮面ライダーの本質はB級アクションである。それをしっかり理解して作られた本作の潔さは鑑賞して清々しく、だからこそ全編を通して、面白い。

映像美、デザイン性が素晴らしくて、大人の鑑賞に耐え得る名作です。お勧めします。

仮面ライダーとして期待してみたら色々と残念で、ストーリーも支離滅裂。私の中の正義のヒーロー「仮面ライダー」が感じられない退屈なタイトルでした。